BlackIceCoffeePhenomenon

溶け出す氷によって味が薄くなると併せ、味覚が苦味に慣れていくことで、加速度的に味覚への刺激が減衰する現象に関するブログです。

Syrup16gの無観客ライブとかを

2000文字くらいの自分語り(;´Д`)

 

無観客ライブを通して久々にしっかり聞いたので、そんな感じの話題になります。

Syrup16g。あまり表で聞く名前ではなく、かなり人を選ぶとされるアーティストです。
私からその良さを伝えるには、あまりにボキャブラリーが貧弱で伝えきれないのが残念で
仮に伝えられたとしても、そこに価値を見出す人は少ないのではという感じです。

 

私はSyrup16gを聞くようになったのは2006年の頃。
初めて社会に出てうまくいかなかったり、
初めての交際も行き詰まりつつあるときに狂ったように聞いていました。
当時三大鬱バンドなんていうふざけた括りで、
BackhornとArt-schoolと挙げられたわけですが
いずれも個性が強い中で、とりわけSyrup16gの放つベクトルは別格でした。

鬱バンドや鬱ロックと呼ばれるカテゴリに収まる曲は大体、
どうにもならない事を考えては嘆くという共通のテーマみたいなものがあり
それ自体は「覆水盆に返らず」とか「零れたミルクは戻らない」といった
たらればを考えてしまう人類ならではの共通の感情です。

魅力を語るとするなら、世の中で売れる音楽が
「頑張る」や「あきらめない」や「君が好き」と言ったポジティブを前面に押し出す中で
「やっぱり無理だった」や「諦めよう」や「この思いは叶わないし仕方ない」という所にフォーカスしている点です。
そのスタイルを単に暗いと受け取るか寄り添ってくれると受け取るかで大きく分かれます。

 

例えば、嫌なことがあったとしましょう。
その嫌な出来事を友達に打ち明けたとして
「そんな事忘れて、飲みいこうぜ!」って言われるのと
「そうか、それは災難だったね・・・」と聞いてくれるのでは
嫌な事を晴らす方法は同じとしても手段は違うわけで、概ね後者に近いバンドです。

もちろん前者みたく、嫌な事から目を逸らしてなかった事にできればそれが最高なんだけど、
毎回同じ手が通じるわけもなく、トイレに行けないほど怖いホラー映画のような
ボリューミーなストレスは世の中にありふれてるわけで。

そんなどうしようもない事もあるから、
それを受け入れていこうという仏教的な感じで
極めてアジアンというか和の思想に近い気がします。 

うん、諸行無常

 


ファン層に関しては、そういう味のあるバンドなので
一部にすごくお察しくださいな人がいる感じです。

元々、サブカル自体が凄まじい選民思想を持った人たちで構成されていて
そのくせ下北沢を聖地というかメインに置くという複雑骨折した文化の音楽なので
そういう人たちを入口に、あれやこれやとやっていく過程で
大量に流入するメインカルチャーのファンにうんざりする古参という形をとっています。

そのため初期のファンはその人数の少なさから先鋭的になり
妄信的に賛美せず、セルアウトだと否定的に受けながら徐々に咀嚼する。

 

Rebornではこんな歌詞があったのに

辻褄合わせるだけで精いっぱいの不細工な毎日を僕らは生きていくのさ

夢からさめてしまわぬようにでは

苦しまないで後悔などしないで
みんな何事もない日々が当たり前なんて思ってないから

 

こういうのがありふれている。
どうにもならない苦し紛れの日々なんだって苦痛ばかりの嘆きに対して
苦痛はレアドロップみたいな流れ。

アルバムが出た当時Reborn否定かよって拒絶しつつも
あれから流れた日々や、波のように揺れる感情の中で
辿り着いた何かがあるんだろうと理解し、周回遅れで咀嚼するような事を。

今となってはもう融解したサブカルという世界観だけど、
そこに足を置く人の基本の形態は拒絶であるし、
メディアが発達する前にたどり着く人は大体、拒絶の果てにここにたどり着く人が多かった。
そもそもメインカルチャーに合わない事に慣れてしまった人たちだからね。

 

御多分に漏れず私も今回のニコ生のライブを通して
あの葬式のように静かな、とても甘美な時間はなくなっていて
今回も居場所を間違たなという感じでした。
それを言ったら、2008年のアルバム時点でそれを感じてましたが。

でも音楽はすごくいいよね。
そこに関して疑う余地は全くない。

 

そういう面倒くさい人たちのやりとりが今でも2chのログに残っていて
目を通してみると、もう一段深くSyrup16gが好きになれるのではないでしょうか。
いくら人生がクソゲーだったとしても、BGMくらいは良かったりするし、
似たもの同士より、多少外れた人間の言葉が刺さるなんて事はよくあるし。

 

ここまで書いてみましたが、全曲レビューは多分やらないです。
それをやるには造詣が浅く、とてもじゃなけど知ったような口で書くには
理解も足りず、畏怖の念が許してくれないので・・・。