去年の暮はひたすら古いVHSテープをデータ化する作業をしていた。生まれる前から決まっていた事や、救い上げられないほど底にある記憶を見ていた。年明けてからはやたらと読みづらい戸籍謄本を読み解く作業をしていた。
なぜかというと暇だからである。
元よりオタクと言えばオタクであるが、そこまでインドアでもなく割と外に出る事が多いというか、休みの日くらいは遊びに出たいというのが正直なところだ。平日は帰宅してから寝るまで外に出ないのが習慣になってて、休日も同じように家から出ないままだと、何もしてないのに気が滅入ってしまう。
そんなこんなあって外に出たいが、冬は寒いし案外家の中でやる事もそんなにない。 去年はWarframeのマスタリーランクもレジェンド3になって、いよいよやる事もなくなってDJ MAX Respectをしているが、今はこれがアツい。 適切な打鍵音があるだけで滝のように降ってても楽しいのだ。もっとメロディとかベース音とか叩きたい。これはもうしばらく楽しめる。
そんな感じの、何の生産性もない余暇と、プラスで義務じゃないが何か残るものでもやろうと、自分から辿れるすべての戸籍謄本をかき集めては読み解き始めている。
市役所や役場に行くときに、単純に興味で・・・というのは微妙らしいので「家系図を作るため」とか「先祖供養のため」とか請求理由が必要とのことだ。そして1通700円程度かかるので、血筋を全て辿ろうとすると結構な額になるが酒やたばこのように無くなったりはしないのでお得だ。
そうして貰った謄本にはすでに墓石になった人たちの情報が記録されていて、まぁ読みづらい字を見ながら、年表を作ってみたりとかをする。
そう、最初は本当に何と書いているのか読めないのだ。
公文書なので後ろに透かしがあるけど、すでにこの世にいないので大丈夫だろう。仮に私の曾孫か玄孫が同じような事をしたとしても許そう。
正直初見では何も読めなかったが、場数を踏むと「明治三十九年十二月八日出生届出同日受付」と書いている。軽やかに旧字体の「受付」と「壱、弐、参」な大字に目を慣らしていくとすらすらと読めるようになる。いろんな街の住民課の人に多少なり近づける。
そして戸籍に記載される内容は、「いつどこで生まれ」「いつ何時にどこで死んで」「いつどこの家の続柄から嫁いできて」「いつ離婚したか」など大体限られるので概ねパターン化されていて、比較的容易に習得できる。
逆にパターン化されてるって事は、わざわざ手書きでなくても必要な部分はハンコに置き換えてしまえばいいのではと思うだろう。これはこれで考え物である。
「原戸籍により出生届出に関する事項知ること能わざるにつきその記載を省略す」というハンコで、これがうまく突かれていればいい。ただハンコはインクを吸った量と押し付け具合によって太くなったりかすれたりすることがある。そうすると難易度が格段に上がったりする。
真ん中らへんに法務省令って書いてるので、何かあったんだろう。
ちゃんと太さがあると非常にわかりやすい。こういう字のうまい人というのが役所の採用基準なのだとしたら納得するくらいにうまい。
字が細いとそもそも読み込めてないので前後の文章から類推する必要がある。これは協議離婚届出によってその日のうちに除籍したもの。
先ほども書いたように、ある程度パターン化されているので多少かすれても前後の文章を元に推測を立てやすい。裏を返すと日付関係は推理ができない。例えば年月日の月が読み取れなくても「●●月」なら11月か12月程度ではあるが。
ちなみにパターンとしては概ねこんな感じ
■出生(いつ どこで だれ届出 いつ受付の大体4点)
・昭和〇〇年〇月〇日 〇〇町大字〇〇で出生 同月〇〇日 誰届出 入籍
場所は本籍に於いてとか、別の場所ならそこが記載される
■死亡
・昭和〇〇年〇月〇日(午前/午後)〇時 本籍に於いて死亡 同居の親族 誰が届出いつ受付
■結婚と離婚
・〇〇町〇〇番地 だれと婚姻届出 昭和〇年〇月〇日受付除籍
・〇〇町〇〇番地 戸主〇〇の長女と婚姻届出 昭和〇年〇月〇日受付除籍(古い方に割とある)
・いつ 夫〇〇と離婚の調停成立 妻届出 同月〇日受付
・いつ 夫〇〇と協議離婚届出
・夫と婿養子縁組婚姻届出 いつ受付 いつ記載
大体の人間はこれくらいで終わるようだ。それくらいで終わってほしい。
珍しいと養子縁組届出や協議離縁届が出たりするし、時には廃嫡とか今ではあまり聞かないものがあると、なかなか難易度があがるので、もし暇とお金(5000円~15000円くらい)あれば試してみるとよいでしょう。
取れる範囲は自分の血が繋がっている所まで。
さて、私の血の色は。