BlackIceCoffeePhenomenon

溶け出す氷によって味が薄くなると併せ、味覚が苦味に慣れていくことで、加速度的に味覚への刺激が減衰する現象に関するブログです。

ray.4

都落ちも気づけば1年が経とうとしている。
生活の形は大きく変わらずとも、通勤の在り方や囲まれる人は大きく変わった。

 


十数年間ほとんど聞いたことのなかった音が良く聞こえてくる。
エンジンで動く草刈り機の音だ。刈られた草が放つ青々とした匂いが部屋の中にやってくる。
帰ってきたんだなって今でも噛み締めるように思う。

 

通勤のありかたも変わってしまった。
7時51分に家を出て7時59分の各駅停車の京急川崎行きに乗って、川崎駅まで乗り換え8時15分の東海道線に乗って東京駅に行くまでの間にソシャゲのデイリーをやったりタイムラインを覗いてた。
移動が終わるまでの間の時間つぶしだ。押し込まれて運ばれていく朝の憂鬱の中では比較的良いイベントだ。

 

今は混みあうというものから無縁になった。
7時22分に窓を全開にして車で職場まで運転する。日がまだ昇って間もなく、夜が置き忘れた湿った風が窓から入ってくる。
時より切り通しや山肌の傍を通ると、朝早くから蝉時雨がそこにある。
タイムラインやアズールレーンのデイリーはできなくなってしまったが、代わりにFMラジオが何かしゃべってくれている。

 

田舎に帰ってやっていけるのか気になっていたが、案外なんとかなっている。
何とかしていく程のやる気がなく、帰って来た時のままミニマムな状態のままだけど、これは時間が解決するだろう。

 

会社は残された人で回っていて、それぞれが健康や家庭の事情でよく休むし、このご時世というのもあり休業補償でやりくりしている。
その恩恵を受け取りながら毎月どこかしら時間休なり半休を取ったりして、そこそこ好きにできている。


向こうでは仕事帰りに住民票の写しを取りに行ってたが、こっちでは17時で窓口が閉まって取りにいけないし、昼休みに移動するにも車が必要だ。
だけどこっちは軽率に休みが取れるので、取りに行くためだけの休みさえ簡単だ。

 

その場所に最適化された仕組みがその場所にある。
社会が厳しければ会社が優しく、社会が充実してるほど会社は無理を通してくるような感じだ。

 

特に後悔もなければ、良かったと思うこともなく、これでよいと思える日々が続いている。